トゥルシーには水銀が含まれる?というお話
 
時々、「トゥルシーには水銀が含まれるのですか?」というご質問をいただくことがあります。インターネット上で検索してみると、トゥルシーが、水銀汚染や放射能(放射線治療を含む)による損傷から身体を保護する作用がある…という記述が多くありますが、水銀が含まれているという具体的な話は見つけることができませんでした。

では、なぜ そんな話があるのでしょう?

「アーユルヴェーダのハーブ医学」という本の中に

「(トゥルシーは)天然の水銀を含み、シヴァの精液といわれる純粋意識の顕在力を高めます」という記述があるため、トゥルシーには水銀が含まれる」という話になったのだと推察します。

この事の真偽については、正直よくわかっていませんが、 インドのドラヴ ィヤグナ(製薬学)では水銀は もちろん毒性があることは認識されていますが、ある製法を用いることで神経強壮薬などを作る方法が確立されているため、単に毒物としてではなく、霊的な精妙な物質として、大切にされています。

おそらく、霊的な植物でもあるトゥルシーには、このような精妙な力があるという話から、このような記述がなされ、それが部分的な表記で、インターネット上に書かれていたりしているので、ご心配をおかけしてしまったのではないかと推察いたします。

では、つぎに科学的なお話をさせていただきますね。

ご存知のことと思いますが自然界には水銀がたくさん存在しますが、金属水銀・有機水銀(メチル水銀)・無機水銀の三種類の形で存在しています。

このうち、気化した形での金属水銀・そして有機水銀が毒性が強く、問題になります。

無機水銀は、通常、体内に取り込んでもそのまま排出されてしまうので、問題になることはほとんどありません。
自然界では硫黄と結びついた硫化水銀という無機水銀の形で多く存在しています。

おそらく上記の本に書かれている「天然の水銀」というのは、この無機水銀のことだと推察されます。

そして、通常、問題になる有機水銀は、植物よりも、ある種の微生物によって金属水銀が有機化され、海洋生物の中で生体濃縮されたものが問題になります。

厚生労働省などでも、妊娠の可能性のある方への注意喚起として取り上げているのはカジキやマグロなどの大型魚や、キンキなどの深海の魚になっています。

結論としましては、有機水銀は通常、海洋生物の中で生体濃縮されて問題になるものであって何らかの汚染源がない限り、地上の植物で問題になることはありません。 

仮にトゥルシーに水銀を集める力があったとしてもメチル化された有機水銀よりも、硫化水銀のように、自然界に通常多く 存在する無機水銀の可能性のほうが高いと考えられます。

石垣島は大きな工場もなく、汚染源になるものもないので、非常に汚染リスクは低いものと考え他の野菜同様、うちでは有機水銀の科学的な検出作業を行っておりません。 おそらくほかの業者さんも同様かと思います。

私どもで分かっているのはここまでの範囲です。

ご参考になりましたら幸いです。