トリカトゥに含まれるナガコショウについて

トリカツのピパーチについて

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アーユルヴェーダを代表するハーブフォーミュラであるトリカトゥは
生姜、黒コショウ、ナガコショウの三種のハーブの組み合わせで出来ています。
もだま工房では、今まではナガコショウとしてジャワナガコショウ(沖縄産ピパーチ/)を使用していました。
ジャワナガコショウは沖縄でも栽培され、その風味の良さから食欲を増進し、消化力を高めるスパイスとして、沖縄の島々ではこよなく愛されているスパイスです。
現代医学的な研究も非常に盛んにおこなわれていて、その効果の高さの証明には驚かされますが アーユルヴェーダではガジャピッパリ、またはチャヴィヤと呼ばれれいて、カパのバランスを整え、消化促進、ガス解消、抗炎症特性 で知られています。
 消化不良、腹部の疝痛、中毒、食欲不振の治療、再発性の咳、喘息、気管支疾患、その他の慢性呼吸器疾患を治すことができます。また、体内の毒素を排出する働きがあり、皮膚疾患や関節炎などの炎症性疾患の治療にも用いられてきました。
特に消化促進や毒素の排出作用が強いことから Panchakolaという、熱性の強く消化力を高めるハーブのグループにも入っています。
このことから、トリカツにいれるナガコショウとして、ジャワナガコショウを使ってもいいと考える先生も多く、実際にインドで製薬会社が販売しているトリカツの原料としても採用されています。
インドナガコショウよりも風味がよく優しい辛さでスパイスとしても使いやすいです(*^-^*)。
 でも、実は古典書の中ではトリカツ で使用されるナガコショウは ジャワナガコショウ(Piper retrofractum)ではなくインドナガコショウ(Piper longum)という別の植物なんです。
その違いは何かというと、インドナガコショウはヴィパーカ(代謝後に体に残る薬効)が甘味なのに対し、ジャワナガコショウ はヴィパーカが辛味のままです。
それはどういうことかというと、 インドナガコショウは消化力を高めたり、代謝を促す働きをしたのち、体に残る働きは体を滋養する方向になるのに対し、ジャワは代謝する力を上げたままということになります。
この働きの違いから、体を滋養する方向にいくインドナガコショウはラサーヤナになるのに対し、ジャワナガコショウはラサーヤナにはならないと考えられます。
(インドナガコショウはピッパリラサーヤナという特別な治療法で、ほぼ何も食べずにナガコショウとミルクだけで行う若返り法があります。 それにはジャワナガコショウは使いません)
 一般的に トリカツにもとめられる薬効は 消化力を高め、アーマ(体内にできた毒素)の排出や呼吸器の不調の改善ですから、その点においては この両者に違いは それほどないと思われます。ですので、トリカツの原料としてジャワナガコショウを採用している製薬会社もあるのだと思いますし、古典書であるラージャニガンドゥではピッパリには4種類あるとして、ピッパリの一つとしてガジャピッパリ=ジャワナガコショウを上げているのだと思います。
 では、なぜ、トリカツの成分をジャワ~からインドにかえるのか?というと、実はいまだに悩んでいます。 風味的にも良く、沖縄で私自らが育てているジャワナガコショウを使いたいです。
でも、私たちがアーユルヴェーダを学び始めた20年前と今では、アーユルヴェーダの情報量も学んでいる方々の知識の深さもずいぶんと変わりました。
中にはPiper longum(インドナガコショウ)とPiper retrofractum (ジャワナガコショウ)の本当はどっちが正解なの?とつまずく人も出てきました。
なので、もだま工房のハーブの解説を参考にしてくれている方に正しく情報を届けるためにも 一度、このあたりのことは整理しておきたいと思うようになりました。
そういう理由で使用するハーブをかえました。ですので、決して今までの沖縄産ナガコショウがよくないものだからという理由ではないです。 むしろいいものだから このまま使いたいけど、正確な学問のためです。
そこで、アーユルヴェーダを学んでいる皆さんにお願いです。 実際に使ってみて
どっちがいいですか? よかったら、皆さんの声を聞かせてください。
皆さんからの答えがある程度まとまってきたら、また、今後のブレンドの参考にさせていただきたいと思います。
そして、ジャワナガコショウ(沖縄産ピッパリ)はやっぱりとてもいいものですので、これからも栽培を続け、それはそれとして販売を続けていきたいと思います(*^-^*)