ヒングアシュタカチュールナ

ヒングアシュタカチュールナ(HAC)は、消化器系の不調に使われるアーユルヴェーダの代表的なハーブ・ホーミュラ(組み合わせ。慣例)です。

アーユルヴェーダにはアグニ(消化の火・火の神様)と呼ばれる概念があり、これは命を支える源であり、食事はこの神聖な火への捧げもの とみなすべきであるといわれています。

この火を乱暴に扱えば この火は肉体自らを焼き尽くし、また火が弱ければアーマと呼ばれる毒素が生まれ、それは全身に届き、やがて病気の原因となります。

このアグニがバランスよく燃えていることがとても大切です。

現代的にみれば、アグニは食事の消化力のみならず、体内の代謝プロセスと機能をつかさどっている酵素反応といえるでしょう。 ですのでアグニを正常に整えることが最も大切な健康の第一歩。そして、そのために8種のハーブで構成されるフォーミュラが、このヒングアシュタカチュールナです。

アーユルヴェーダでは消化不良はアグニマンディヤと呼ばれます。これはピッタドーシャとヴァータドーシャの不均衡によってはじまります。マンダ・アグニ(消化の弱い火)により、摂取した食物が未消化のまま放置されると、アーマ(未消化物・体内の有毒残留物)が形成されます。ヒングアシュタカチュールナは、アーユルヴェーダの古典的なハーブの組み合わせの中で最も優れたものの 1 つで、ディーパナ (消化液の分泌を促進し食欲をもたらす) とパーチャナ(消化力を高め、毒素を作らせず、排出する) の特性によりアーマを消化することで健康の問題を改善します。

分かりやすいところではヒングアシュタカチュールナは消化不良を和らげ腹痛、胃潰瘍、下痢の治療に役立ち、体への有害な毒素の蓄積を防ぎ、これを除去します。胃の痛みや不快感を和らげ、食欲不振やすべてのヴァータ障害を緩和・治療へと導きます。

胃が丈夫な人は元気で健康だし、すべての病気の素は不適切な食べ方や食べ物によって始まるという考えかたは日本の伝統医学にもありますから、私たち日本人にもしっくりする感覚があるかと思います。 
万病に効くハーブの話 その1

その、根本に役立つハーブの組み合わせということでアーユルヴェーダを学ぶと必ず名前が出てくるハーブフォーミュラであり、もだま工房へのリクエストも多いので、作らせていただくことにしました(*^-^*)。

一般的に適応症として
:消化不良 膨満感、食欲不振、鼓腸の症状を軽減 関節障害、消化器系の炎症を軽減する抗炎症作用、 がいわれています。

ですがもだま工房では食品としての販売ですので、参考までに紹介されているものと思ってください。 

特に重要な役割をはたしているヒングというセリ科のハーブを中心に、8つの成分が含まれています。
アシュタは数字の8を意味し、チュールナは粉剤のことですから、直訳すれば ヒングと8種の粉剤 という意味になります。そしてこの8つの成分の組み合わせは相乗効果を発揮し 上記したように 食欲を促し 消化不良などの胃の働きを改善し、小腸、大腸の働きを良くし、鼓脹、便秘など、ヴァータに関連する不調を改善します。大腸はヴァータの座なので、その改善は関節痛や、リウマチなどのヴァータ関連疾患の症状の管理にも効果を発展させていきます。

飲み方
1 日 1 ~ 2 回、1.5~2gを食事中に。食後ににぬるま湯と一緒に摂取することもできます。 理想を言えば、ギーと一緒に。 また症状のある時に。
(ギーと一緒に摂るのが理想というのは、ヒングアシュタカチュールナは、わずかながらピッタを上げるためです。ギーはピッタを鎮静させる最高の消化剤のひとつです。ピッタが高く、消化系に問題がある場合には潰瘍や炎症などを悪化させる場合があります。その予防のためです。)

使用時の注意点
授乳中・妊娠中の使用に対しては現代医学的な視点による十分は安全性を示すデータはありません。ご使用前に医師にご相談ください
(伝統医学的には授乳期にはOK。低使用量なら子供もOKです。)

心臓病・高血圧症の治療を受けている方、腎臓関連の持病を持つ方は ご使用前に医師にご相談ください (岩塩が含まれているためです。)

長期間の連続服用はさけましょう。 2週間をこえて飲み続けても症状の改善が見られないときには服用を中止して、素直にお医者さんに行きましょう。
食習慣の改善か、医学的な処置が必要です。(海外の文献では2か月以上の連続摂取は医師の処方がない限りしないように と書かれています。)

その他

・ 関節リウマチ (RA)   関節リウマチは自己免疫性の炎症性疾患です。これは、免疫システムが誤って体内の健康な細胞を攻撃し始め、影響を受けた部分に炎症(痛みを伴う腫れ)を引き起こす状態です。関節リウマチに伴う炎症は、関節や体の他の部分にも損傷を与える可能性があります。関節リウマチ(RA)は、アーユルヴェーダではアーマヴァータとして知られています。アーマヴァータは、ヴァータドーシャとアーマの蓄積が関節に起こる病気です。アーマの形成は弱いアグニにより、消化管から始まるので、消化の改善がとても大切と考えられています。消化器官に発生したアーマはヴァータを通して体のさまざまな部分に運ばれ関節に蓄積したとき、症状があらわれます。ヒングアシュタカチュールナは、ディーパナ とパーチャナ の性質とヴァータのバランスをとる性質があるため、アーマを減らすのに役立ちます。これらの特性によって、関節リウマチのような関節の痛みや腫れの症状を軽くするのに役立つと考えられています。

・、月経困難症による腹痛の痛みを緩和 ヴァータを鎮静する特性により効果的といわれています。

・ 胃潰瘍 胃潰瘍やその他の消化器疾患に効果的とされていますが、使い方を誤るとピッタを上げて逆効果の可能性もあります。
主治医の先生と相談してください。

・ヒンガスタックソーダ(小さじいっぱいのHAC)を加えた炭酸水。
消化不良による胃の不調に簡単に使えるドリンクで近年人気があるそうです。
(レモン汁を加えるとよりおいしく飲めます。砂糖を加えるとよりお通じを付けやすくなります)

成分
・クミン:(シュウェッタ・ジーラカ)Cuminum cyminum 

クミンに含まれるチモールなどの優れた成分は 胃酸の分泌を刺激し、胃腸管からの過剰なガスの除去を助け、消化プロセスを改善します。

・ブラックペッパー(マリッチャ)Piper nigrum、
に含まれる強力な生理活性化合物 は、痛みを緩和し、炎症を抑え、筋肉のけいれんや痛みを治療します。また、抗菌特性により腸内の有害な細菌の増殖が抑制され、腸の健康と機能が促進されます。

・ナガコショウ(ピッパリ)Piper Longum
自然な鎮痛作用により、痛みが軽減され、腫れが軽減されます。食欲を増進し、食物の消化吸収を高めます。これらに加えて、ピッパリは 肝臓の損傷を回避し、肝臓の健康と機能を高めるのに役立ちます。

・生姜(シュンティ)Zingiber officinale
痛みを和らげ、消化不良、吐き気 感染症による炎症や腫れを和らげる効果があります。天然の消化促進剤として働き、胃酸過多や胃潰瘍を緩和し、腸内の有害な病原体を殺します。

・黒岩塩(サインダヴァ・ラヴァナ)Saindhava Lavana
消化酵素の放出を刺激し、消化プロセスを改善します。また消化システムに対するストレスの悪影響を軽減し、体を落ち着かせます。

・アジョワン:(アジャモダ)Trachyspermum ammi 
に含まれる活性化合物は、筋肉のけいれんの緩和、ガスの除去、腸の pH レベルの維持、胃潰瘍の治療をサポートします。
(セロリシードApiumgraveolens やワイルドセロリCarum roxburghianum(こちらもサンスクリットではअजमोद )が使われることもあります)

オオウイキョウ(ヒング)Ferula foetida
ヒングは、消化管からガスを除去し、排便を規則的にし、有害な細菌の増殖を防ぎます。さらに、免疫系にも作用して免疫反応を変化させます。強力な抗酸化物質は、フリーラジカルによって引き起こされる酸化ストレスと戦うのによく作用し、それによって腫れを軽減し、筋肉のけいれんや痛みを治療します

キャラウェイ(クリシュナ・ジーラカ)Carum carvi
キャラウェイ シードは消化を改善するために使用され、ガス、胸焼け、膨満感、便秘などの問題の解決に役立つ可能性があります。
キャラウェイシードは血糖値の管理に役立ち、血流中の糖の吸収を遅らせるのに役立つ豊富な繊維源でもあります。血糖値を下げる可能性があり、研究によると、キャラウェイシードを定期的に摂取すると、疲労や体重の変化などの糖尿病の症状にも効果的な可能性があります。